「POSITIVE」で人材情報管理の基盤を構築し、年間2,000時間以上の作業工数削減を図る 昭和22年の創業以来、「環境試験器」のリーディングカンパニーとして、業界をリードしてきたエスペック株式会社様は、国内6つの子会社と海外の関係会社の9社に加え、国内47ヵ所、海外29ヵ所もの販売・サービス拠点を擁し、グローバルビジネスを展開されています。同社では、人事・給与業務の効率化はもちろん、内部統制の強化、さらには人材の戦略的活用を目指し、人事・給与パッケージ「POSITIVE」を導入。今後の事業領域の拡大も視野に入れた、高機能かつ拡張性の高い人事・給与システムを構築されました。 業種 環境試験器メーカー ポイント 業務オペレーション改革の推進 内部統制の強化 「人」に関する情報の戦略的・機動的活用 導入パッケージ POSITIVE (統合HCMソリューション) 導入背景 旧人事給与パッケージソフトの陳腐化により浮き彫りになった、3つの課題。 エスペック株式会社様では、1998年に導入した人事給与システムを長年にわたり運用されてきました。しかしながら、昨今の人事制度の多様化や法制度改正に伴う新たな要求に対して、さすがに旧システムでは対応しきれず様々な課題を抱えていたと、導入プロジェクトの業務担当リーダーを努めた武甕(たけみか)氏は語ります。 「弊社の人事給与システムの刷新の背景には、大きく3つの課題がありました。1点目は、システムの陳腐化により、新しい人事諸制度との整合が取れなくなったため、それをカバーするため外付けのシステムや手作業による別管理を行った結果、人事情報が分散され、情報の重複管理・業務の複雑化といった非効率に陥っていた点です。」 こうした業務改革に加え、企業に対する社会的要求、説明責任の高まりも、人事給与システム再構築の大きな課題だったといいます。 「2点目の課題としましては、内部統制の施行に伴い、人事給与情報管理についても情報漏洩、不正、瑕疵等の未然防止・セキュリティ体制の強化が求められた点。さらに3点目は、CSR、コーポレートガバナンスによる社会的要求が高度化・複雑化してきているなか、重要な経営資源である「人」に関する情報を戦略的・機動的に活用し、人の育成・配置・活用の有効化により経営効率や品質の向上を図る必要に迫られていた点です。」 エスペック株式会社 総務人事部 総務グループ 武甕 拓也(たけみか たくや) 氏 リスク管理・コスト管理の面から、パッケージソフトによるシステム刷新を選択。 新システムの再構築にあたっては、リスク管理とコスト管理の両面におけるメリット、デメリットを検証した結果、自社で新たに人事給与システムを開発するのではなく、パッケージソフトを活用するという結論が出されました。その際の留意ポイントとして、同社では次の3点を最重視されました。 「まずは、パッケージの不正なプログラム変更のリスクを回避するために、パッケージのカスタマイズをできるかぎり行わないこと。さらに、情報漏洩リスクを防ぐため、万全のセキュリティ機能を備えたパッケージソフトであること。そして何より、導入から保守まで一貫したサポート体制であること。これらの点が、選定の大きなポイントとなりました(武甕氏)。」こうした条件をクリアするためには、各社パッケージソフトの機能比較や検討は当然のこと、自社業務や制度へのフィット&ギャップ率など、あらゆる側面から要件を細やかに洗い出す必要がありました。 「実際のところ、パッケージの標準機能で、弊社の人事給与制度がカバーできるのか?という点が最大の心配でしたね。ですから、説明会への参加、他企業へのヒアリングなど、パッケージの情報収集と導入方針の検討は充分過ぎるほどに行いました。ベンダーの選定も、弊社で吟味したRFP (Request For Proposal)に対し、ご回答いただく形で1次、2次、最終選考と3度にわたり行い、慎重に絞り込んでいったのです。」と、武甕氏は振り返ります。 選定のポイント 6つの評価軸をもとに厳選。すべてに最適に応えた「POSITIVE」。 同社がPOSITIVEを採用された理由について、武甕氏は次のように語ります。 「まず、パッケージの基本機能として、(1) 拡張性 (2) 操作性 (3) 安定性の3つを。さらに、弊社への適合性という観点から、 (4) 業務適合性 (5) コスト適合性 (6) パッケージ導入論と、全部で6つの指標から、各社のパッケージを評価させていただきました。」 それぞれの項目について、より具体的には下記のようなポイントが重視されました。 (1)拡張性(標準機能の豊富さ) ・企業グループの成長・拡大にも対応できるか。 ・人事制度変更に対しても標準機能でカバーできそうか。 ・人事・給与制度が異なる関係会社も統合管理できるか。 (2)操作性 ・権限に応じた情報照会や情報の入出力が容易にできるか。 ・社内展開が容易に行えるか。 (3)安定性 ・内部管理の体制が構築できるか。 ・導入から保守までの一貫したサービス体制があるか。 (4)業務適合性 ・現在の業務がパッケージ標準機能にどの程度適合するのか。 ・システム変更に伴う効率化により2,000時間の業務削減が見込めるか。 (5)コスト ・導入コストと保守コストの2つをあわせて、導入後5年間で評価した際のコストパフォーマンスの高さはどうか。 ・導入にかかる社内工数をどこまで削減できるか。 (6)パッケージ導入論 ・弊社の業務整理を行う(業務整理を行ったうえで、新システムにのせる)という視点が、ベンダー側で持たれているか。 特に、(5) コストについて、武甕氏は次のように語ります。 「導入コストの評価では、各ベンダーの見積内容がバラバラだったので、その内容を合わせる必要がありました。ポイントとなったのが『パラメーター設定作業』と『データ移行作業』の部分です。弊社では、システム導入にかかわる人員が確保できそうになく、導入にかかる社内工数を極力少なくする必要がありました。また、弊社がパラメーター設定をしてしまうと、弊社とベンダー間の連携の良し悪しがパッケージの安定性を決めることとなると判断し、これらの作業は、ベンダーで行っていただくことを前提としました。」 こうした、数々の条件・指標をあらゆる面からクリアし、最終的に選ばれた人事・給与パッケージソフトがPOSITIVEでした。 導入システムイメージ 「POSITIVE」により、情報の重複や業務の複雑化といったムダを解消。 旧人事・給与システムでは、人事情報が分散され、情報の重複管理・業務の複雑化等の非効率な管理となっていましたが、POSITIVEの導入により、こうしたムダを大幅に削減し、システムのスリムダウンが実現しました。 「旧人事給与システムをはじめとする4つのシステムと22個の総務ツールを削減することができました。また、POSITIVEは弊社の人事・給与制度に標準機能だけでほぼ適合しましたので、人事給与情報を一元管理できるようになり、業務の流れが非常にシンプルになった点も、とても満足していますね。さらにPOSITIVEでは、容易に情報検索条件を設定・保存することができますので、ひとつの箱から同じ条件で情報を取り出すことができるようになり、安定性も向上いたしました(武甕氏)。」 導入後の効果 人事給与関連業務に費やされていた工数を、年間2,000時間以上も削減。 POSITIVEの導入による業務整理に伴う削減工数を具体的にカウントした結果、同社では、非常に大きな導入効果が見込まれると、同社では新システムに大きな期待を寄せています。 「具体的には、1年間に作業が発生する回数、1回の作業にかかる人員、その作業にかかる工数から試算しました。その結果、年間2,000時間以上もの工数削減が可能という結果が出たのです(武甕氏)。」 工数削減の主なポイント3点について、武甕氏は次のように語ります。 「1点目は、組織改編のたびに人事データをそれぞれのシステムに反映させる「年次処理」の削減です。各業務担当者に分散されているとはいえ、延べ工数としては相当なものでしたが、POSITIVEによる一元管理により、これらの工数の削減が見込めることとなりました。」 「2点目は、関係部門への情報提供業務の効率化です。経理やIT部門、関係会社などの関係部門に対し、定期的に人事データの提供を行っていましたが、それぞれの部門で必要とする情報が異なるため、その不足分情報を補うための業務が発生していました。POSITIVEでは、不足分も盛り込んだうえでより豊富な情報提供を行えるため、こうした業務の削減が見込めることとなりました。」 「3点目は、情報照会機能の活用による、経営層、管理職層に対する情報配布作業の削減です。これまで部下情報の提供、給与明細の配布などは、その都度、手作業で行っていました。POSITIVEでは、これらの情報もWebで照会できるため、配布作業の工数削減だけでなく、スムーズな情報提供も可能になりました。」 そして、「もちろん、導入メリットは業務の効率化だけにとどまりません。当初からの課題であった内部統制への対応や、人事情報の戦略的活用においても、POSITIVEの豊富な機能によって、充分に対応できるという目処も立ちました。」と、武甕氏は語ります。 成功の要因/今後の展開 ベンダーとの信頼関係こそ、パッケージソフト導入における成功のカギ。 今回のシステム再構築は非常に満足のいくものだったと喜ばれる武甕氏は、成功の要因を次のように語ります。 「予算通りに、しかもスケジュール通りに本稼働へと至ることができました。その大きな理由は、やはりパッケージ導入方針を明確にし、それを遵守できたこと。そして、進捗管理・導入設定作業をベンダー主導で行えたこと。さらには、内部工数をしっかりと考慮し、それに応えていただけるベンダーを選定できたこと。これらに尽きると思います。」 また、今後の展望について、『業務改善によるさらなる工数削減』、『業務プロセスのレベルアップ』、『人材育成支援』の3点をあげられています。 「今、最重要課題となっているのは、『業務担当者の慣れ』の問題です。導入にあたっては充分な教育を受けましたが、従来の慣れ親しんだ業務フローを変更することは、やはり各業務担当者にとって大きな負担ですし、違和感を覚えてしまうものです。これを解消するには、とにかくPOSITIVEに慣れるしかありません。」 いかに早くPOSITIVEに慣れ、さらにローコストオペレーションを推進するか。今後、さらに効率的かつ効果的な運用を目指されているとのことでした。 2009年8月掲載 エスペック株式会社 2007年7月25日に創立60周年を迎えた、環境試験器のリーディングカンパニーです。独創的な「環境創造技術」をはじめとする基幹技術をベースに、環境試験事業、計測システム事業、半導体関連事業、FPD装置事業、その他、森づくりや水辺づくり、都市緑化といった環境エンジニアリング事業を推進しています。 商号 エスペック株式会社 本社 大阪市北区天神橋3丁目5番6号 設立 1947年7月25日 資本金 6,895百万円(2009年3月31日現在) 従業員数 連結:1,338名、単独:655名(2009年3月31日現在) URL http://www.espec.co.jp/ ※本事例の内容は2009年8月時点の内容となっております。 ※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社の商標または登録商標です。